『周りの声が聞こえなくなるくらい読書に没頭してしまう本』に出合ったことはありますか?
私は先日久しぶりに“没頭”するほど面白い本を読みました。
それはタイトルにある通り『変な家』です。
現時点で原作は70万部以上売れ、漫画化もされ、2024年春には映画化も公開決定という大ヒットベストセラー作品でござます。
むしろ知らない人のほうが少ないかもしれません。
なので、この記事では「没頭するほど面白かった5つの理由」について書いていきます。
何をもって没頭と言っているの?
結論、読書スピードが通常を遥かに超えてきたからです!
(あっという間に読み終わったので、私自身とても驚きました)
本にもよりますが、私自身の読書スピードはだいたい「1時間に40ページ程度」です。
ですので、244ページあるこの本であれば「6時間」ほどかかるはずなのですが、パッと時計を見ると「2時間半ほど」しか経過していなかったのです。
読書スピードが上がったのは、「時間も忘れ、1点集中してしまうくらい引き込まれたから」です。
これほど引き込まれてしまう本の特徴(没頭の理由)・・・
これを知ることで、次にあなたが選ぶ本が「入り込めるほど面白い本か、そうでないのか」の選定基準をつくることができます。
『変な家』のあらすじ
この記事での本題は「没頭できた5つの理由」ですが、一応知らない人のためにあらすじを載せておきます。
謎の覆面作家・雨穴デビュー作!!
「読み出したら止まらない」と大反響
売れ続けて70万部突破
映画化2024年春公開決定
YouTubeで1400万回以上再生のバズ動画あの「【不動産ミステリー】変な家」にはさらなる続きがあった!!
Amazon
謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋——
間取りの謎をたどった先に見た、「事実」とは!?
知人が購入を検討している都内の中古一軒家。
開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に「謎の空間」が存在していた。
知り合いの設計士にその間取り図を見せると、この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が存在すると言う。
間取りの謎をたどった先に見たものとは……。
不可解な間取りの真相は!?
突如消えた「元住人」は一体何者!?
本書で全ての謎が解き明かされる!
恥ずかしながら、最初は私自身この本のあらすじを特に知らず、表紙だけ見て「変な間取りの家についての解説本」だと思っていました。
また、大変失礼ながら著者である雨穴さんのことも知りませんでした。
だから、何でこんなに人気なのか分からなかったんです。
読み始めた理由は、恥ずかしながら「世間で人気だから」というなんともミーハーな気持ちからです。
そんなミーハーな気持ちでも読み始めたら止まらなくなってしまう理由。
それについて書いていきますね。
(より詳細なあらすじ・著者については詳しく書いてくれている他サイトがあるので、そちらをご覧ください)
没頭するほど面白かった5つの理由
没頭するほど面白かった5つの理由は以下の通りです。
- 理由1 「会話7割、説明3割」で読み直しがいらない
- 理由2 「図面」というわかりやすいビジュアル
- 理由3 「登場人物が少ない」ので覚えやすい
- 理由4 「伏線回収」が早い
- 理由5 「新たな疑問」の無限ループ
順に解説します。
理由1 「会話7割、説明3割」で読み直しがいらない
この人誰だっけ?
今どんな状態だっけ?
小説を読んでいて、このように感じたことはありませんか?
そして、そのたびにページを戻って読み直すことはありませんでしょうか。
私自身、小説ではこのようなことが何度か起きてしまいます。
ですが『変な家』ではそれがありませんでした。
理由は、「会話がメインだからストーリーを忘れにくい」ためです。
説明口調の文面って、どうにも頭に入りにくいですよね。
その点『変な家』は、印象として70%が会話で展開していきます。
なので、登場人物への感情移入がしやすく、ストーリーも頭から抜けにくいのです。
結果として読み直しが無くなるので、最初から最後まで一気に読めてしまいます。
理由2 「図面」というわかりやすいビジュアル
文章だけだと描写がイメージしにくい時がありますよね。
『変な家』では絶妙なタイミングで図面を入れてくれるので、状況を想像するのに苦労しませんでした。
なので、ページをめくる手が止まることがなかったのです。
また、
これって、どの時点の話だっけ?
この人とこの人って、どういう関係?
という状態は小説ならではのあるあるかと思います。
これらについても、時系列や登場人物の家系図を所々で挟んでくれていますので、とても親切な構成になっております。
理由3 「登場人物が少ない」ので覚えやすい
各章では最大3名までしか会話に登場しません。
なので、「誰がどういう立場で、今何を感じていて、どういう気持ちでしゃべっているか」を想像しやすいです。
さらに、理由1の通り「ストーリーの70%が会話で展開」していきますので、状況を見失うことがありません。
一部、会話には出てこない人物たちも登場しますが、理由2の通り「図面、時系列、家系図のサポート」がありますので、想像に苦労することもないのです。
理由4 「伏線回収」が早い
『変な家』の最大の魅力と言ってもいいかもしれません!
伏線回収がとても早いです。
この伏線、いつ回収されるんだよ~
と感じる間もなく回収してくれますので、とても心地よいリズムで読み進めることができます。
ただ、大きな柱となる伏線『見つかっていない左手首』は最後まで丁寧にとっておいてくれますので、「周辺の疑問は小気味よく解決していくが、真相まではたどり着けないもどかしさ」が残り続けます。
「心地よい伏線回収」と「シンプルだけど不気味な謎のもどかしさ」の絶妙なバランスが、ページをめくる手を止めなかった最大の理由です。
理由5 「新たな疑問」の無限ループ
理由4の通り「伏線の回収は早い」のですが、回収した伏線から発生する新たな疑問が絶えず、まるで無限ループのように繰り返されます。(もちろん最後には終結します)
「変な家」の間取り・・・
そこから展開される謎・・・
一歩足を踏み入れたら最後、その謎を解きたい衝動に駆られ、後戻りはできなくなります。
- 虐待?
- 殺人?
- もう一人の子?
- 首謀者?
- 片淵家?
- 左手供養?
- 潮の呪い?
- 分家と本家?
- 『左手供養』の真相?
- 終止符を打つ者?
- 本当の『首謀者』?
幾層にも重なる伏線と繰り返される回収、その最下層にある真実にたどり着いたとき、爽快感というよりも「血生臭くドロドロした人間の欲望」のようなものを感じ、圧倒されてしまいました。
これって実話?と思うくらいに引き込まれてしまう、とても魅力的な作品でした。
感想「無知は恐ろしい。でも人の念はもっと恐ろしい。」
この本の感想を一言で述べるなら、
無知は恐ろしい。でも人の念はもっと恐ろしい。
です。
「知識のないこと。 または知恵のないこと。」を無知と言いますが、この状態では他人の悪意を見抜くことはできません。
悪意のある他人はあたかも正しそうなフリをして近づいてくるからです。
この正しそうなフリを受け入れてしまったら最後、「自分の行いは正しい」という常識がインプットされてしまうので、そこから抜け出すのは容易ではなくなってしまいます。
(ある種洗脳のような状態ですね)
すべての始まりはここからきていると考えると、無知が故の「人の思い込み」はとても恐ろしく感じました。
また、伏線回収がすべて終わったフィナーレで、新たな疑問が浮かび上がります。
この疑問は文中では回収されず、登場人物の中での考察という形で締められるのですが、ここの印象が秀逸でした!
この考察をネタバレしない表現でまとめると、
「『無知な人間』を操る悪意ある人間」を操る真の首謀者
その動機は「怨念」
です。
先日書いた『苦しかったときの話をしようか』の記事の「資本主義社会の構造」と似ているところを感じました。
- 無知な人間 = 会社員
- 悪意ある人間 = 会社
- 真の首謀者 = 資本家
こう考えると他人事のような気がせず、とても生々しい恐ろしさを感じました。
そして、「首謀者の真の目的は復讐という『怨念』ではないか」という部分にも、「資本主義社会の構造をつくる本質は『人間の欲』」に類似しているものを感じ、非常にリアリティがありました。
まとめ
結論、『変な家』はめちゃめちゃ面白いです!
ミステリーやホラーが苦手な人にはあまり向いていないかもしれませんが、そうではない方であれば是非一度手に取って読んでほしいと思う作品です。
特に「ミステリー・ホラー好きだけど読書が苦手」という人には強くオススメいたします。
理由は読むのが遅い自分でも、周りの声が聞こえないくらい没頭してしまい、気づいたら2時間半ほどで読み終わってしまった面白さがあるからです。
没頭するほど面白かった5つの理由は以下の通りです。
- 理由1 「会話7割、説明3割」で読み直しがいらない
- 理由2 「図面」というわかりやすいビジュアル
- 理由3 「登場人物が少ない」ので覚えやすい
- 理由4 「伏線回収」が早い
- 理由5 「新たな疑問」の無限ループ
この没頭できた理由を知ることで『変な家』の面白さの理解だけに留まらず、次にあなたが選ぶ本が「入り込めるほど面白い本か、そうでないのか」の選定基準が作られれば、とても嬉しく思います。
さっそく今日から、選書の基準を一つ作ってみませんか?
今日ご紹介したのはこちら。
■没頭するほど面白かった小説
『変な家』
著:雨穴
■コミック版もありますのでコチラも是非チェックしてみてください!
『変な家』
著:雨穴
コメント